20250425更新
20250409公開開始
自治体の類型化
-
市Municipalitiesと町townshipsは自治体として重要な役割を果たしているが、その組織構造や権限が異なる。都市Municipalities(市cities、町towns、村villagesなどを含む)は、州政府から自治権を認められていて、条例、課税、警察や消防、公共事業などのサービスを提供している。
-
一方、Townshipsは、通常、カウンティの下位自治体として、農山村部などを中心に、住民代表で構成される執行委員会が運営している。提供する行政サービスは、道路維持や土地利用計画など極めて基本的なものに特化していることが多い。
-
市は、区域の利用計画ゾーニング、規制権限、提供するサービスの種類等において、townshipsより広範な権限を持っている。市は、上下水道、公園、リクリエーションなどのサービスを提供するが、一方、townshipsの提供サービスはもう少し限定的で、基本的サービスに集中し、その他のサービスは、市やカウンティに外注することも多い。
-
市の組織構造としては、典型的には、市長-市議会、議会-管理者、執行委員会の3方式があり、別に設置される執行部局と法令部局とともに、複雑な執行体制を構成している。一方townshipsの組織構造はもう少し簡易で、住民から選ばれた業務受任者trustees もしくは監査委員supervisorsなどによって運営されている。
各州の個別事情Individual State Descriptions: 2012
2012年全米自治体調査2012 Census of Governments
発行Issued September 2013
商務経済統計省U.S Department of Commerce Economics and Statistics Administration
国勢調査局U.S. CENSUS BUREA
==================================================
目次
はじめに
各州の個別事情
(Alabama・Alaska など50州に関して、アルファベット順に記述(以下略))
付属資料
A. カウンティが存在ない地域のカウンティ類似自治体
B. Township自治体と他自治体の区域の重複
C. 本編のレビュー実施者
D. 本編に関連して参照された法令
==================================================
はじめに
全米自治体調査は、Title 13, Section 161に基づいて5年毎に行われる。2012年調査は、1957年以来の調査と同様、自治体の組織・採用・財務の3つの分野に関して実施された。本書は、州政府と自治体の組織に関する情報を提供するものである。各州とワシントンDCに関しては、別の文書にまとめられている。
これらの文書は、連邦政府国勢調査局が定義した自治体の5つ類型にしたがって編集されている。
---------------------------------------------------------------------------------
連邦政府の定義
-
【訳者注】
-
① カウンティcounty:
米国の2階層制自治体制度における上位層の自治体、日本の都道府県のイメージ。
② 法人化自治体municipal:
米国の2階層制自治体制度における下位層の自治体で、自治体組織として法人化された自治体、日本の市役所、町村役場のイメージか。日本では全ての自治体類型が明確に法令で定義されていて、その組織の性格は極めて均質である。一方米国の自治体は、設立の手続きとして、州法による法人化、設立する方法の他に、設立規約を自主的に作成し、それを州政府から認証等を取得する方法などいろいろな方法があり、その組織の性格は極めて多様である。 -
③ タウンTownship:
米国の2階層制自治体制度における下位層の自治体で、一般的には、municipalityよりも中小規模のものが多いイメージである。タウンは法人化されるとmunicipalityとも呼ばれるが、日本の町村のイメージであろうか。また、法人化されていないタウンは、役場業務の一部を受託執行している町内会のイメージであろうか。法人化されていない自治体という存在は日本にはないため、イメージするのが難しい。 -
④ 地域教育委員会school district:
自治体からは独立して公立学校を運営する別の組織で、1つの自治体である。日本の教育委員会のイメージである。日本の公立学校は、親自治体から、かなり独立的に運営されているといわれているが、一方で予算編成上の強い統制を受けており、米国の地域教育委員会よりも独立性は制約されていると思われる。 -
⑤ 特定目的自治体special district:
日本の一部事務組合のイメージである。上下水道事業者にはこの類型の自治体が多い。また上下水道は巨額の投資が必要となるため、カウンティだけでなく。連邦政府や州政府まで巻き込んだ、大規模な特定目的自治体が設立されることも少なくない。
--------------------------------------------------------------------------------- -
自治体に関する基本的な概念
-
自治体の分類基準
全米自治体調査は、公的団体の全容を、過不足なく把握することを目的としている。米国における行政サービスは、多数の公的団体や公的機関による複雑な体制を通じて提供されている。国勢調査局では、連邦政府と50の州政府という類型の他、自治体を5つの類型に区分している。
5つの自治体類型のうち3つは、行政サービス全般を提供する目的の一般目的自治体であり、countyとその下位にあるmunicipalとtownshipである。残りの2つは、地域教育委員会と特定目的自治体である。各類型については後に詳述する。
countyとその下位にあるmunicipalとtownshipの区分は、一般の人にもわかりやすく、誤解の可能性はないと思われる。しかしながら、地域教育委員会と特定目的自治体については、法的な位置づけが州毎にかなり異なっているため、自治体の組織を確定し、その数を数える場合、その前に、現実に存在している行政組織についてそれがどの類型にあてはまるかを判断するための基準を作っておく必要がある。その判断基準を要約すると、次のようになる。 -
自治体とは、他の自治体とは独立に、自分自身のことについて自己決定できる組織のことである。また、1つの自治体としてカウントできるためには、①法人格を持つ組織として存在していること、②公的性格を持っていること、③自己決定権をかなりの程度持っていることの3つの要素を保持している必要がある。
全米の多様な自治体を分析する場合、たった1つの判断基準でその団体が自治体であるかどうかを判定するのは難しいが、いろいろな指標を見て、上記3つの判断基準が全て適合したら、それは自治体であると判断していいのではないか。 -
① 法人格を持つ組織として存在していること
この基準に適合しているかどうかの証明は、その組織が一定の形態として存在している証明、または、一定の法人権限を有していることの証明によって行われる。例えば、永続的に存続している組織であることの証明、保有する資産について訴え、訴えられ、また、その所有権が登記されている、契約ができる、新規取得できる、既存資産を処分できる等の権利を持っていることの証明などである。
法令において、municipal corporations、public corporations、bodies corporate and politicなどと呼ばれる複数自治体の集合体は、法人格を持つ組織である。一方、法令で具体的に業務を定義されていない組織体は、1つの自治体としては認定できない。存在しているというだけではこの証明にはならない。以前は自治体として機能していたが、現在では徴税能力はなく、活動も行っておらず、担当者もいないような場合も、また、1つの自治体としては認定できない。 -
② 公的性格を持っていること
ある意味、その組織が、サービスを提供し、権限を行使し、住民に対する説明責任を負っていて、まさに公的性格を有している場合のみ、その組織は自治体であるといえるのではないか。その公的性格というものは、その組織の執行責任者が選挙で選ばれるか、選挙で選ばれた者によって任命されるかする場合に、そこに存在しているといっていいのではないか。住民に対する高度な責任、住民に対する周知義務、住民監査を受ける義務などが明示されていることも、また、公的性格を持っていることの重要な証明である。
公的性格とは、課税権限を持つこと、借入をした場合にその支払利息が連邦政府税の控除対象になること、または、通常、行政的な性格を持つサービスを提供する責任をもっていることなどがそれに該当する。しかし現状、このような性格の1つを持っていなくても、それを持つようにその組織が再編成される可能性はある。課税権は持たないが、電気や上下水道サービスを広く提供するいくつかの特定目的自治体は、その組織態様や住民への説明責任などの基準に合えば、自治体としてカウントされる。 -
③ 自己決定権をかなりの程度持っていること
自治体の法令、また、州法に基づく自治体の規制に基づき、その自治体が、財政的、行政的独立性をかなりの程度持っている時に、この基準に適合していることになる。財務的独立性とは、一般に、次のような権限をいう;
他の自治体などによる承認や細かい修正要求なしに、予算を決定できること
運営のために課税できること
サービスを提供する対価として手数料を設定し、徴収できること
他の自治体による承認なしに、借入を実行できること -
行政的独立性は、その組織の執行責任機関の役員の選定方法に関連している。したがって、財務的独立性に加えて、次のような性格を持つ必要がある;
執行責任機関が、州政府または自治体を代表する、2人または3人の役員で構成されている
役員が任命される手続きも含め、親自治体の機能とは基本的に異なり、かつ、その業務について親自治体の細かい指示に従う必要がなく、業務が実行される -
逆に、財務的独立性と行政的独立性を、両方、同時に持っていないからと言って、直ちに、その団体が独立性を欠いているということにはならない。独立性を欠いていると判断されるのは、次のような性格がみられる場合であり、その場合、その公的団体がかなりの財政的独立性を有していたとしても、親自治体の強い影響下にあるとみなされる。
その公的団体の執行責任機関が、全面的もしくは部分的に、親自治体の役員の影響を強く受けている
保有する施設を、補充し、追加活用し、更新する場合、その資金が親自治体から提供されることが一般的である
その公的団体が資産の建設費を償還し終わった場合、その資産と運営の責任が、親自治体に戻される規定がある
その公的団体の計画立案に関して親自治体の許認可要件が規定されている
その公的団体が建設し、運転しようとする施設の位置や形式に関して、親自治体による法令や実施細目が定められている
その公的団体の収益の、全部またはかなりの部分が、他の州政府機関、カウンティ、市町、教育委員会、特定目的自治体の決定に依存している
その公的団体の収益の予算に関して、他の自治体による承認、細部にわたる変更が必要とされる規定が定められている -
④ その他の要素
自治体類型に関する上記基準の適用にあたっては、多くの場合、さほど問題はないが、自治体関するいろいろな規定と、特に独立性についての程度の微妙な違いのために、どの類型に属するかについてはかなりの価値判断を伴う。このような場合、調査局は次の2つのことを考慮した。(1)自治体として、その組織が独立していると考えているか、(2)その組織の財務や雇用に関する統計を収集し、公表することの影響 -
⑤ 付随的な組織要素
自治体に関する上記の本質的な要素の他にも、自治体として認定する上で、付随的に考慮すべき共通的な要素がある。例えば、地理的境界、人口、徴税権限、課税とサービスについての内部的整合性などである。多くの自治体は、基本的に、住民が決定できる特定の区域においてサービスを提供している。しかし、上記の本質的要素をすべて持っている組織であっても、この付随的な要素を持っておらず、せいぜい、特定の人口集中地域の住民とは関係のない地域に関係を持っているだけの場合がある。その1つの例は、有料道路や橋を提供している特定目的自治体である。例えば、固定資産への課税などにおいて固有の区域で業務を行っている自治体であっても、隣接地域のためにお互いに施設を所有、運転、サービス提供しあうことはよくあることである。ほとんどの自治体は課税権を持つが、それは自治体の本質的な要素ではない。特定の区域の固定資産への課税権限を持っていたとしても、自治体が、その関係する地域において単独で課税とサービス提供の権限を持っているとは言い切れない。例えば自治体の統合や境界変更に伴い、その地域に関連する建設費の元利償還費の負担が変更になるなど、課税が2重に行われることがある。さらに、その事業実施のために自治体の下位にサービス提供のための関連組織・団体が設立される場合もあり、この場合も、その区域において課税が2重に行われることになる。 -
自治体業務governmental function
住民からの苦情に対する自治体の責任範囲を決定する場合、裁判所ではその業務が、「自治体業務governmental function」であるか、「民間業務propreity function」であるかを峻別するが、自治体調査ではそのような厳密な区別はしていない。自治体調査では、その組織が、公選で選ばれた人が運営しているか、公選で選ばれた人が任命した人が運営しているか、また、住民公開の原則に基づいて運営されていれば自治体と定義し、その業務には、民間業務と考えられているものも含まれている。 -
自治体関連組織・団体
自治体を定義する場合に最も重要な要素は、自治体そのものの業務と自治体関連組織・団体の業務を峻別して、全体像をとらえることである。自治体関連組織・団体は、小中学校、高校、大学、電気水道、高速道路、病院などいろいろな業務を、親自治体と協力関係を強調しながら実施している。関連であるかどうか、従属的であるかどうかの基準は、「かなりの自己決定権を持っていること」という原則に基づいている。
関連組織・団体の対照的な事例が、ニューヨーク市とシカゴ市にみられる。ニューヨーク市では、すべての行政サービス(学校、図書館、交通など)が市役所業務の一部として位置づけられている。結果として、市は100を超える関連組織・団体を持っている。これに対してシカゴでは、これらの多くのサービスが、独立的な特定目的自治体によって提供されている。 -
【訳者注】自治体業務と民間業務
前者は、自治体のみが行う業務、例えば、食堂の検査業務、動物保護業務、健康安全に関する許認可免許業務、環境衛生保全業務、人口統計業務などである。一方、民間業務とは、民間団体が行う業務で、一般住民の利益だけのために行う業務ではない機能である。裁量的業務というものもあるが、これは民間業務や国家業務にはない。この2つの業務にはグレーゾーンがあり、例えば、高速道路の計画業務は自治体業務か民間業務かということについては、州毎に結論が異なっている。 -
自治体の範囲
-
自治体の類型
【一般目的自治体General Purpose Governments】 -
以下の記述は、自治体調査が参照している枠組みに関する読者の理解を助けるため、また、調査局が、“county”、“municipality”、“township”、“special district”、“school district”という用語を使う時、どのような種類の組織が対象とれるかを説明するためのものである。“county”、“municipality”、“township”の概念は誰にでもわかりやすく、分類に困ることはないので、この3つについては簡単に説明する。
-
カウンティCounty Governments
法人化されたカウンティは、コネティカット、ロードア・イランド、ワシントンDCと、その他明示的なカウンティが存在しない一部州の一部区域を除き、全米に広く見られる。ルイジアナとアラスカでは別の名称になっているが、カウンティとほぼ同じであり、自治体調査では、いずれもカウンティとしてカウントされている。
カウンティについては、カウンティ機関そのもの、州法によって指定されたカウンティの下部機関、その執行機関に関する簡単な説明をしている。州内に、カウンティ所管区域外の区域を持つ州については、それについても明示している。
市やカウンティが統合されたり、一方が吸収したりするケースがあるが、この場合は、自治体調査では市としてカウントしている。その事例としては下記のものがある。
・ アンカレッジ市(アラスカ)
・ サンフランシスコ市(カリフォルニア)
・ デンバー市(コロラド)
・ Wyandotteカウンティとカンザス市の統合自治体(カンザス) -
カウンティ区域に属さず、その外に存在して、カウンティと同じ役割を果たしている市もある。ボルチモア市(メリーランド)とセントルイス市(ミズーリ)がそれである。カールソン市(ネバダ)とバージニアの39の独立市は、どのカウンティにも属していない。
-
市と町Municipal and Township Governments
カウンティの下位の一般目的自治体には2つの類型がある。2012年において、19,519の市と16,360の町の合計35,879の市町があった。この2つの類型は、歴史的背景と地理的特性によって区分される。即ち、市として法人化された区域は都市部の場合が多く、一方、町は、小規模集落区域に存在していることが多い。市の区域は、人口密集地域に対して行政サービスを提供することを目的としているのに対し、小規模集落区域では、一般に、人口とは必ずしも関係なく行政サービスを提供したり、当該集落区域を管理したりするために設立されている。
本書では、市については、市または市の関連組織・団体が州法に基づいてどのように設立されたのか、法人化に関する人口要件の最低基準などについて説明している。町を持つ州については、町区域の中で、市機能が存在しているかどうかについて記述している。また、州内の町が所管している区域の状況、法令で明示されている町の関連組織・団体の概要、町の執行機関、及び、町の業務内容に関して簡単な説明をしている。 -
市Municipal Governments
市という用語は、一定の地域における特定の人口密集地域に設立された行政体を指す。この定義は、公式に設立されたcities, boroughs ( Alaskaは除く), towns (6つのNew England 地域の州とMinnesota, New York, Wisconsinを除く), villagesの全てを含むものである。この概念は、基本的に、法人化された自治体地域に対応している。法人化された自治体地域とは、調査局による人口・住宅調査で定義されているものであるが、その数をカウントする場合、実質的に活動していない市役所は含めないという重要な基準に従っている。 -
町Township Governments
町の用語は、次の20州にある法人化された自治体に使われる。((T)はTownship ではなく、Townと呼ばれている州)
Connecticut (T), Massachusetts (T), New Hampshire (T), Pennsylvania, Illinois,
Michigan, New Jersey, Rhode Island (T), Indiana, Minnesota (T), New York (T),
South Dakota, Kansas, Missouri, North Dakota, Vermont (T), Maine (T), Nebraska,
Ohio, Wisconsin (T) -
ニューイングランド6州とNY州におけるtownsと、ミュージャージー州とペンシルベニア州におけるtownshipsは、法的にはmunicipal corporationsと呼ばれているが、これらの自治体は一般目的自治体であり、人口密集地域にサービスを提供していることが多いが、人口規模と必ずしも関連している訳ではない。したがって本調査では、町としてカウントしている。町の数から除外されているものは次の通りである。
・ 法人化されていないtownship
・ Township機能を統合した市と共存しているTownship
・ 一般目的自治体の機能を停止したことが広く知られているTownships
・ アイオワ州のTownship、独立の自治体ではなく、カウンティの関連組織・団体と分類している。 -
調査局が自治体を観察する枠組みと、自治体が提供するサービスの範囲を理解するために、データ分析者は、1つのtownshipsが他のtownshipsとどのように重複しているかを検討している。それには次のようないくつかの視点がある。
・ その州にtownshipsが存在しているか(20州にはあり、30州にはない)
・ その州にtownshipsが全てのカウンティに存在しているか、一部にしか存在していないか(11州では全カウンティに存在、9州では一部カウンティのみ)
・ Townshipsが市と重複しているか(11州では重複、9州では重複していない)
・ 市の区域になっていない区域が、全て、townshipsの行政区域になっているか -
カウンティの区域内にTownshipが存在する州は、2012年現在、次の通りである。
Illinois:85/102
Kansas:95/103
Massachusetts:13/14
Minnesota:84/87
Missouri:22/114
Nebraska:25/93
North Dakota Massachusetts:48/53
South Dakota Minnesota:52/66
Wisconsin:71/72
Nebraska:25/93
New York:カウンティはNY市の区域外にのみ存在、Townshipsはその全てに存在 -
【特定目的自治体SDG:Special District Governments】
SDGとは、一般目的自治体から、行政的、財務的にかなり独立性の高い組織として、別個に存在している自治体である。自治体調査では、教育委員会はSDGに含めておらず、別の類型の自治体として定義している。SDGは特定のサービスのみを提供しており、その多くは単一のサービスを提供しているが、関連する複数のサービスを提供する場合もある。これらのサービスは、病院、消防等の基本的な行政サービスから、蚊の除去や墓地清掃のような目立たないサービスまで含まれる。
調査局のSDGの定義はかなり幅広く、そのうちの多くはdistrictsとか authoritiesと呼ばれている。しかしこのように呼ばれている団体が、必ずしも、独立したSDGである訳ではない。法令によって明示されていても、カウンティ、市、town/ township, 州政府とかなり密接な関係を持っているため、独立した自治体ではなく、自治体関連組織・団体と見做される事例も多い。
SDGに関する法令は、州毎に、かなり、複雑、多様であるため、SDGについては詳細な資料を添付している。そこには、設立の方法、業務範囲、組織の性格、執行委員会の選定方法、認められている借入の方法などが含まれている。 -
SDGの業務
SDGの業務として実施されているものは、以下のようなものである。
空港:Air transportation (airports)・墓地:Cemeteries・社会更正:Corrections・
教育:Education・電力:Electric power・消防:Fire protection・ガス:Gas supply・
保健:Health・有料道路:Highways・病院:Hospitals・住宅地域開発:Housing and community development・工業開発:Industrial development・図書館:Libraries・
ローン提供:Mortgage credit・環境保全:Natural resources・駐車場:Parking facilities・
公園リクリエーション:Parks and recreation・港湾:Sea and inland port facilities・
下水道:Sewerage・ごみ処理:Solid waste management・交通:Transit・水道:Water supply -
教育委員会と公立学校システムSchool District Governments and Public School Systems
2012年調査にいては、14,178教育委員会のうち、独立的な自治体と見なせる教育委員会は12,880のみである。残りの1,298は、州政府, カウンティ、市町村等他の自治体の関連組織・団体であり、自治体から独立してはいない。設立規約学校Charter schoolも調査局定義に合致していない限り、自治体としてカウントしていない。
公立学校システムの運営主体は、自治体とは独立の教育委員会、自治体の関連組織・団体、その他教育団体の3つに分類される。その他教育団体とは、学校を経営しているのではなく、教育活動を行っている団体である。技術専門学校、地域教育センター、キャリアセンターなどがその事例である。これらの団体は、独立した教育委員会としてはカウントされていない。 -
設立規約学校Charter Schools
設立規約学校については、universities, cities, counties, public school systemなど別の自治体によって設立された学校のみを公立学校システムの学校としている。これらの公立の設立規約学校のデータは、所在する自治体か、その学校を設立した自治体が持っている。独立した自治体という定義に当てはまらない設立規約学校は、私立の設立規約学校として分類され、自治体には含まれない。 -
訳者注:Wikipediaより
チャーター・スクール (charter school) は、アメリカ合衆国で1990年代から増えつつある新しい学校の試みで、チャーター (charter) と呼ばれる特別認可、あるいは達成目標契約により認可された、初等教育もしくは中等教育レベルの学校である。
チャーター・スクールは新しいタイプの公立校という説明の仕方がされることもあるが、正しくは公募型研究開発校という方が分かりやすい。保護者、地域住民、教師、市民活動家などが、その地域で新しいタイプの学校の設立を希望し、その運営のための教員やスタッフを集め、その学校の特徴や設立数年後の到達目標を定めて設立の申請を行う。認可された場合、公的な資金の援助を受けて学校が設立される。運営は設立申請を行った民間のグループが担当する。その意味では、公設民間運営校である。ただし、所定の年限の内に目標の達成や就学児童が集まらない事態に陥った時には学校は閉校になり、その場合の負債は運営者たちが負うことになる。 -
歴史
こうした学校のアイディアは、1980年代には既にあったもので、全米教職員組合 (AFT) の大会で、当時の組合長のアル・シャンカーがそのアイディアを提案したことで設立運動が始まった。実現に近づいたのは、1991年ミネソタ州で、チャーター・スクール法が成立してからである。この法律を受けて、1992年同州のセントポールの町にシティーアカデミーという第一号のチャーター・スクールが誕生した。
既存の公立小中学校と並んで、その独自性を主張するため、当初チャーター・スクールは、コンピュータ・リテラシー教育や理科教育に特化した学校、あるいは不登校の子ども達を対象にした学校など、さまざまな特徴あるいは教育的配慮をその前面に押し出していた。その後、白人の子どもに限定したり、ヘブライ語を指導したり、人口構成比率に伴った人種別の入学者数を制定したりする学校が出るなど、教育政策的な色彩も併せ持つようになってきた。全米ではこうした学校の数は急増している。
学校数は2009年で5043校に及び、近年は1年で400校程度増えてきている。ニューズウィークが2009年6月4日、全米の高校のトップ1,500校を発表したが、トップ100校の中にチャーター・スクールが17校含まれていた。 -
現状
2004年の時点で全米のチャーター・スクールは2996校に昇り、そこに通っている生徒の数はおよそ69万人になる。全米の公立学校の3.3%がチャーター・スクールである。この数はまだ増えていくものと予想される。
チャーター・スクールでは、規定の成果を出さなければチャーターを失ってしまうため、数学やアートなど、特殊な分野を強調したカリキュラムが使われ、よって一般的な生徒より優れた生徒が集まる傾向にある。2008年の統計によると、全米の59%のチャーター・スクールでは、入学するためのウェイティング・リストがあり、平均198人の生徒が入学の空きを待っている状態である。 -
【自治体関連組織・団体Subordinate Agencies and Areas】
州別特記事項の章においては、各州における独立した自治体だけでなく、自治体に従属する自治体関連組織・団体についても記述している。自治体関連組織・団体とは、法令によって、州政府または独立自治体から行政的、財務的支配を受けているものである。これらの団体は、authorities, commissions, corporationsその他一定の行政機能を持つ組織と同じ仲間ではあるが、独立した自治体という定義には当てはまらない。関連組織・団体のうちの大規模なものについては、設立の方法、業務範囲、組織の性格、執行委員会の選定方法、認められている借入の方法などを記載している。
なお、自治体関連組織・団体のリストは、ある観点から見れば不完全なものであることに留意されたい。例えば、法令に基づいて設立はされたが、現在は、活動していないとか、活動を停止しているとかの団体も含まれている可能性がある。また、大学やカレッジの教育団体は明示的にリストアップされていない。これらの教育団体は、多くの点で独立自治体としての性格を有しており、また、民間の非営利団体と区別するのが難しいが、一貫して、州政府傘下の独立自治体として分類されている。
また、同リストには、複数の州による協定に基づいて設立された関連組織は含まれていない。そのような組織は、通常は、それに参加している州政府からの要請に対して、協力、アドバイスするという立場である。一方、複数の州政府の協定に基づいて設立されたSDGというもの(ニューヨーク州とニュージャージー州による港湾当局など)もあり、そのような組織はSDGに分類されている。各種の選挙管理委員会等は、自治体とはいえず、自治体関連組織・団体には含まれない。 -
先住民自治体Tribal Governments
先住民自治体は、連邦政府の下で1つの国家として認められている。したがって、州政府や自治体の類型には当てはまらない。 -
自治体リストと他の自治体類型との関係
-
人口調査(国勢調査)のための区域
counties, municipalities, townships, towns の区域は、自治体調査とは別の人口住宅調査で使われている区域と同じである。しかしながら、本調査で定義された自治体と類似の名称を持つ地域区分の間には、その数に大きな差異がある。その理由は、本調査では自治体の数として、現在、活動中の自治体のみを数えているからである。カウンティ類似の地域区分リストは付属資料Aに添付している。
本調査での自治体の数は、人口住宅調査における法人化された自治体区域に対応している。但し、2012年6月30日現在、活動していない自治体の区域は含まれていない。人口住宅調査において「小規模集落区域minor civil divisions」としてカウントされているこれらの区域は、本調査では、2012年6月30日現在、活動していれば、municipalやtownshipとしてカウントされている。多くのtownship区域は、法人化されていないし、活動もしていない。 -
教育委員会
本調査における公立学校システムの数は、基本的に、州政府の教育部局による調査における数に対応しており、全米教育統計センターが公表している報告書の数と一致しているが、一部、例外もある。 -
設立規約学校Charter Schools
調査局において自治体の定義に当てはまる設立規約学校のみがカウントされている。設立規約学校は、公立大学や市など、運営する自治体の関連組織・団体になっていることが多く、その場合、その学校のデータは親自治体のデータに含まれている。自治体の運営ではなく私立運営の場合は、それらは民間組織となり、自治体調査の対象にならない。 -
特定区域課税法人Taxing Areas
本調査における自治体数は、いくつかの州政府が公表する、課税法人taxing unitsとか特定区域課税法人taxing areasの数とは異なっているが、その理由は次の通りである。
先ず本調査におけるSDGの全てが、必ずしも、法的に課税権を認められている訳ではなく、その権限のないSDGは特定区域課税法人Taxing Areasから除外されていることによる。
また、いくつかの州では、カウンティや他の自治体の関連組織・団体であることが法的に規定されていて、特定の改良事業や行政サービスに対する借入金に限定して、その返済に充当するため、親自治体ではなくSDGに、単独での追加的課税権があることが明示されている。このような場合には特定区域課税法人の数は本書における自治体数を超えることになる。 -
カウンティ関連の特定区域課税法人County-Subordinate Taxing Areas
多くの州においてカウンティは、カウンティ全体ではなく、その一部の特定の区域において、特定の改良事業や行政サービスを提供することを目的として、特定区域課税法人を設立することが法律で認められている。このようなカウンティ関連の特定区域課税法人は、親自治体とは独立の別個の自治体としてはカウントされない。
多くの州において、このような特定区域課税法人は、都市型サービス(上下水道、消防、街路、街路照明など)を提供するために、あるカウンティの隣接地域の法人化されていない自治体区域において発達してきた。しかしカウンティの隣接地域における似たような現象は農村地域でも見られる。特に道路建設や道路維持のサービス提供のために見られることが多く、Illinois, Mississippi, and Texasの特定区域課税法人の多くはこの事例である。
同様にアイオワの町は、独立した自治体ではなく、カウンティ関連組織・団体という分類が当てはまるような限定された業務を行う機関として定義されている。ノース・カロライナではカウンティより狭い区域で、カウンティから独立して運営されている公立学校システムがあるが、これはカウンティの関連組織・団体としての特定区域課税法人という分類となっている。 -
データソースSOURCES OF DATA
-
法令のレビューReview of Legislation
自治体マスターファイルGMAF: Governments Master Address File -
一般目的自治体General Purpose Governments
-
特定目的自治体Special District Governments
-
公立学校システムPublic School Systems
-
本調査データにおけるデータの限界LIMITATIONS OF DATA
-
州間の比較INTERAREA COMPARISONS
各州の多様な自治体類型を、直接、他の州のものと比較して、結論を得ようとすることには注意が必要である。ある州では教育委員会や特定目的自治体が担っている業務を、他の州ではカウンティや市が担っていることがある。
同じ州であっても、個々の自治体の業務範囲がそれぞれ異なっていることもある。例えばカリフォルニアでは、公共交通について、ある地域ではカウンティや市か運営しているが、別の地域では、特定目的自治体が運営している。また、カウンティと市の組合が運営していることもある。
多くの州では、小中学校の運営は、自治体から独立した教育委員会が行っている。しかしいくつかの大都市では、公立学校の運営はカウンティやmunicipal, or town or townshipの業務である。その自治体の区域の一部、場合によっては全区域の住民だけが、その施設の受益者になる訳ではない。例えば、あるカウンティに存在する公立病院やごみ処理施設は、その外側の区域にもサービスを提供している場合がある。 -
データ利用AVAILABILITY OF DATA
電子データとして利用可能。
新Fairwoodの行政区域(案)